#662  2020年2月17日(月)
「TRUE THING」――時を超えて変わらぬもの

今年1発目のライブ「MANIFESTO & STANDING STANDING AGAIN」無事完了！
いやー最高！盛り上がったねー！集まってくれたみんなサンキューでした！
客席のみんなの喜んでくれてる顔顔顔！こちらも嬉しくなり心が弾んで滾る。
最後おまけの新曲「旅空」は来てくれたみんなへのささやかなプレゼント。
遠くの街からもたくさん来てくれてたね。ありがとうな。サンキューでした！

一昨年のデビュー30周年きっかけで始めた「再現ライブ」のシリーズ第3弾
だったけど、やっぱいいね。何がいいって、30年も前にリリースされた歌達が
長い時を超え、歳月を紡いで、イイ大人になった今の今でもこうしてみんなで
一緒に分かち合える場があるってことがさ。客観的にみてもそう簡単に誰でも
成立できることではないと思うし、ホントこの今がある全ての状況に感謝。
メンバー、スタッフ、お客さん、応援し支えてくれる全ての皆さんに感謝です！

1990年3月発売の『MANIFESTO』と1991年5月発売の『STANDING STANDING』。
このアルバム2枚の間に1990年秋のシングル「BARRIER CRASH」があるのだが、
その春の「1990 MANIFESTO TOUR」の東京公演は新宿厚生年金会館で、90年の頭
から何事もなく順調に進めば次は日本武道館という話も出てたりしたのだけど、
物事はそううまくはいかず、どころかそんなプランどころの話じゃなくなった。
1990年の年頭から俺達ビーツOKI・SEIZI兄弟はデビュー後最初の大きな荒波を
乗り越えなきゃならなくなったから。メンバーチェンジのうえに事務所も撤退、
周り全ての体制を一から立て直さないと前に進めない、どころか本気で必死に
踏ん張らないと流れに呑まれて潰されてもおかしくないくらいの状況になった。
その時書いたのが「BARRIER CRASH」。詞を見ればよくわかる。なぁ、ブラザー。
こんなんでビーツを潰されてたまるか。もう一度ことを起こすのさ。壁を壊せ。
この歌に込めた強い意志があったからあそこで終わらず前に進むことができた。
そんな「BARRIER CRASH」のMixとPV撮影のために二人でロンドンへ行った。

あのPVはロンドン市内のカムデンやブリクストンの路地裏などとにかく俺達が
体感したかった場所で撮った。そして大好きな映画「さらば青春の光」の舞台
ブライトンでもどうしても撮りたくてロンドンから約100kmほどを車で行った。
「さらば青春の光」未見の人は観たらいい。ラストシーン、ベスパで疾走する
ジミーがぶっ飛ぶあの台地、あの白い石灰岩の断崖絶壁の下で俺達は歌った。
「BARRIER CRASH」は当時の俺達が一歩を踏み出すための決意を刻んだ曲だった。
そして東京に戻って次作のメインテーマ『STANDING STANDING』を完成させる。
誰にも依存せず、誰にも引っ掻き回させず、元々の俺達らしさのみで勝負する。
立つ。強く立つ。自分自身の足で人生を歩み続ける。決意と覚悟の作品だった。
だからラストは二十歳の時に書いた「LIKE A ROLLING STONE」で締めくくった。

去年の結成35周年アルバム『旅人の詩』のジャケットに使った写真はその時の
1990年ロンドンの路地裏で撮ったスナップだ。兄弟は光に向かって歩いている。
自分の中で感慨ひとしおでもあり、且つ今に繋がる象徴的な1枚でもあった。
「TRUE THING」――時を超えて変わらぬもの。全身全霊で生きれば悔いはない。
1990年のあの大変だった時期を超え、その後も幾度とも数知れない紆余曲折や
いろんな山あり谷ありを超えて、とにもかくにもあれから30年経った2020年。
YAMANE、MUTAはもとより、スタッフ、ファン、みんなのおかげでビーツは今も
こうして結成37年目を数える音楽人生の旅を続けられている。感謝しかない。

その中で紡いできた今を刻み付けたアルバム『生きた証を残す旅』が完成した。
このアルバムにはまさに今を生きる俺達自身の息吹や呼吸、生き様、佇まい、、、
そういったものが実に素直に刻まれている。明確な思いを込めた言霊と共にね。
そして聴く人それぞれの人生の有りようにフィットする曲がきっとあると思う。
春になったらこの作品の新曲達をまたみんなで分かち合っていけたら最高だ。
そう――春になったら、今年もまた何処かの街の旅空の下で会いましょう！

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