OKI'S DIARY 2016
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#465  2016311()
震災から5年。

3.11からまる5年が過ぎた。今日は冬戻りのような厳しい冷え込みで、
また一段と彼ら彼女らの心が沈み込みはしまいかと、仲間達の心中を思う。
春になって暖かくなったらまたみんなと笑顔で会えたらいいなと願っている。

先月、ビーツのローディー満から「親が復興住宅に来月入居するんですよ」
と報告があった。満の故郷は津波で町のほぼ全域が壊滅した宮城県の南三陸町。
南三陸町・歌津地区の海辺にあった満の実家は津波で跡形も無く流され、
ご両親はこの5年間仮設住宅での不自由な暮らしを余儀なくされてきた。
震災からまる5年にして高台の新築への集団移転が実現したこのケースは、
それでも他の多くの被災地の仮設住宅で今も暮らす沢山の人達の中では、
まだしもスムーズに事が運んだ方であり稀な例である、というのが現実だ。
尤も満の実家のケースでは、行政による事業としては高台の土地の造成までで、
その上に建てる住宅の建築費用については個々の自己負担ということだった。
なんと厳しい話だ。70歳近い高齢者が住宅ローンを背負う。補助金も出ない。
震災からまだ5年しか経ってないというのに、復興予算はどこに消えたのか。

他の多くの被災地域でもこの春で国の補助金が打ち切られるという現実に
直面しており、仮設住宅の土地を提供している地主が土地の返還を求める
ケース等も実際に起こっており(これにより今の仮設住宅から別の仮設への
移転を余儀なくされるケースも生じる)、今後はますます個人の収入や資産、
個々の状況の違いによって色んな意味で格差が拡がってゆく懸念は否めない。
繰り返すが、まだたったの5年しか経っていないのだ。土地の嵩上げだけでも
あと数年は裕にかかる地域が山ほどあるのに、5年というスパンはあまりに短い。
そしてこの時期良くも悪くもメディアが喧伝する震災関連番組や津波映像等に
辛い記憶を呼び起こされ情緒が不安定になって連絡してくる友達も多々いる。
彼らの凄絶な体験は5年やそこらで払拭できるようなものではとてもない。

被災地域の子供達の情報をよく観る。おそらくこの子達が成人する頃にやっと
復興が成ったと言えるかどうかくらいにまだまだ膨大な時間がかかるだろう。
もちろん世の中には災害以外にもありとあらゆる試練や困難が誰にでも起きる。
直面した現実に対峙して対処する、その繰り返しで人生は成立するのだろう。
だからこそ、大切な人や友や仲間達と少しでも多く笑顔の時間を共有したい。
今年も大槌や南三陸、南相馬をはじめ東北の地を訪ねる機会が多くある。
ゆく先々で共に過ごし共に笑い、今を語り未来を夢見、時を紡いでゆければ。
ありフェス2016.8.7開催。一歩一歩刻む今が未来に繋がると信じている。
今日の昼、連絡をくれた大槌の漁師である友人の言葉は力強さに満ちていた。




     

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